Discussion and Message Zone
| No.357 |
金取遺跡は旧人遺跡か 投稿者---アームチェア(2004/03/05 00:36:46) | ||
毎日新聞報道によれば、日本列島に「旧人」がいたことが確実となったそうです。 岩手日報には「旧人」の文言はありません。 ただ、発掘調査委員会が4日の会議において、一次調査で古い石器が見つかったとされる地層の年代が50,000〜85,000年前だったとの結論をまとめたという事です。(Webで見る限り、対照的に)冷静な記事です。 毎日新聞の記事全文を読んでも、なぜ、旧人がいた事が確実なのかは分かりません。旧人説に対して誰かがクレジットを与えたのでしょうか、それも分かりません。中期旧石器時代説なら、クレジットする研究者もいますが... よもや、現在の研究状況において、このような説明(旧人説)が「仮説」としてはともかく、「展示会」等で公式化されることはないようにお願いしたいとは思いますが... 繰り返しますと、テフラによる地層年代確認の情報は既に報じられた通りであり、それが調査委員会の結論になったという以外(それはそれで尊重されるべきですが)、新しい情報は無いようです。 | |||
| No.358 |
層序は型式を決定するか 投稿者---アームチェア(2004/03/06 18:36:51) | ||
3月5日毎日新聞朝刊の全国版に加え、毎日新聞地方欄の岩手版にも記事が載っている。こちらに「旧人」の文言はない。ただ、調査委員会は「日本最古かどうかについては調査団としては判断がつかない」と発言しているのに、見出しでは「金取遺跡が「日本最古」」となっている。繰り返すと、調査団は日本最古との判断を示していないのに、毎日新聞は日本最古との見出しを付けた。これがミスリードでなくて何であろう。 全国版には「ねつ造問題の発覚以後、初めて確認された中期旧石器時代の遺跡で、現時点では国内最古となる。この結果、日本列島に「旧人」がいたことも確実となった」と記事にあるが、記事中にある旧石器時代区分表には、3〜13万年前を中期としながら、旧人と新人が併行して存在したように示されている。古い時代にはアフリカに居ましたよ、といったら正解だが、3〜13万年前に属するからといって旧人とは限らないことを図らずも認めている事になる。しかし毎日新聞ではあくまで[年代が3〜13万年前=中期旧石器時代=旧人]を自明の前提としているようだ。 中期旧石器(という概念)は、研究者の主張としてはありうる。しかし、金取IV層(4層)出土品についての検討が紹介されているわけではないし(今回の調査ではそうした研究は行われていない)、テフラ同定と熱ルミネッセンス法(毎日全国版の解説コラム)で地層の年代が示されて大体一致しました、という話にすぎない。こうした事で、「壊滅した前・中期旧石器研究の再構築」の「出発点」になる(毎日全国版の解説コラム)との言説は、極めていかがわしいと言わざるをえない。 研究者間に異論とか慎重論がある時、新聞(マスコミ)が特定の立場を本命とみなしてミスリードするという構図、そうした成り行きに(直接の関係者でない)研究者が眉をひそめる風景は、まさに捏造問題をめぐって展開された構図と瓜二つである。しかも、どうやら今回の調査団(調査委員会)の発表には、ミスリードを招くような内容は含まれていないように見える(前述の通り、調査団見解と違うニュアンスで記事にしているようだ)。 金取は研究途上にある(前・中期旧石器問題の全てがそうだ)。毎日新聞の記者は、捏造問題から大事な教訓を学びとるのに失敗したようだ。 | |||